2017/05/31

骨粗鬆症の管理に関してのupdate

少しブログの認知度も広がってきたなら非常にうれしい。しかし、その分責任感もより生まれると感じる。記事は気軽に読んでいただければと思う。


今回は骨粗鬆症に対してのお話である。


骨粗鬆症のガイドラインに関してはAAFPの2008年度のが出されており、今回ACPより骨粗鬆症や低骨量のUpdateがでている。
以前に骨粗鬆症に関しては記事を書いている。(AB


骨粗鬆症に関してはとても重要である。
一つは頻度:米国でも50歳以上の50%以上が骨粗鬆症のリスクがあると言われている。
一つはコスト:2025年までに253億ドル(日本円で2.5兆円)のヘルスケアシステムでインパクトがある。


骨粗鬆症に関しては検査のgold standardはDXA(Dualenergy x-ray absorptiometry)で、若年者と比較してSD(Standard Deviation:標準偏差)として表され、Tスコアで表される。
 ・例:Tスコアで-2:若年者と比較して-2SDということ
この検査で-2.5SD以上であれば骨粗鬆症のリスクを考慮する(閉経後の女性・50歳以上の人)
→しかし、DXAでの低骨塩量は骨折の予測にはつながらないと言われ、50%未満しか予測できないと考えられている。


Zスコアもある。Zスコアは同年齢・性別と比較して骨密度のSDの変動がどうかをみている。
 ・例:Zスコアで-2:同年齢の人と比較して-2SDということ
-2以内であれば、年齢相応と考える。
→これの単独で骨粗鬆症のリスクを考えず、FRAX(fracture risk assessment tool)も併用し骨折リスクの予想を行う。


治療に伴っての利点:
・ビスフォスフォネート、デノスマブ、テリパラチド、ラロキシフェン:脊椎骨折の減少
・アレンドロネート、リゼドロネート、ゾレドロネート、デノスマブ、テリパラチド:非脊椎骨折の減少
・アレンドロネート、リゼドロネート、ゾレドロネート、デノスマブ:臀部骨折の減少




治療にともなっての不利益:
ビスフォスフォネート:上部消化管の中等度症状、非典型的な転子下骨折、顎骨壊死
ラロキシフェン:心血管障害(重度)、血栓塞栓現象(肺塞栓)、脳血管死、顔面高潮
イバンドロネート:筋肉痛、下肢痛や下肢けいれん
ゾレドロネート:心房細動、関節炎、頭痛、低カルシウム血症、ブドウ膜炎、インフルエンザ様症状
デノスマブ:中等度上部消化器症状、発疹
テリパラチド:上部消化器症状、頭痛、高カルシウム血症、高カルシウム尿症

推奨:
1:骨粗鬆症がある女性で椎体や臀部の骨折リスクがある人:アレンドロネート、リゼドロネート、ゾレドロネート、デノスマブなどでの薬物治療が推奨(強い推奨:強いエビデンス)


2:骨粗鬆症女性に対して5年間の薬物的治療の推奨(弱い推奨:弱いエビデンス)

3:骨粗鬆症が臨床的に分かっている男性で脊椎骨折のリスク減少にビスフォスフォネートの使用(弱い推奨:弱いエビデンス)

4:骨粗鬆症治療をしている女性に5年間のうちに骨粗鬆症の評価(弱い推奨:弱いエビデンス)

5:閉経の女性にエストロゲン製剤、エストロゲン+プロゲステロン製剤、ラロキシフェンの使用(推奨度高い、中等度エビデンス)

6:65歳~骨折リスクの高い女性に対しての利益や不利益や金銭面などを患者と相談して治療を行うかは決定する(弱い推奨:弱いエビデンス)


今回は一般の人に対してのガイドラインのUPDATEをおこなった。
また、腎障害の人に対してもUPDATEできればと思う。