そのAKIになるリスク因子としては
・外科要因:心肺装置装着時間、手術時間、血管の阻血
・心臓の要因:RACHS1(Risk Adjustment for Congenital Heart Surgery )リスクカテゴリー(心臓手術後の入院での死亡率の予測に用いられる。)、心室の機能
・術前の要因:AKIの存在、人工呼吸管理、循環作動薬の使用
などがある。
AKIになることは、デンマークの報告でも心臓手術後のAKIの12%がCKDになったという報告や死亡率や入院期間の延長などがあり避けるべき事態である。
だけど、術後のAKIに対して何かできるのだろう??
→腹膜透析の早期開始で体液管理を行いoutcomeを改善させたという報告がある(KI 2013)
では、体液管理の観点では利尿薬を使用するのはどうなんだろう?という観点で見たのが今回の研究である(JAMA 2017)。
この研究は単施設の前向きRCTである。
inclusion:6か月以内のPDカテを入れる計画をされた先天性心疾患の手術を受ける患者。
exclusion:eGFR<60と腎機能障害を有している、死亡や再手術が必要になるなどの重篤な合併症が術後24時間以内に発生した者としている。
これをPD群と利尿薬(フロセミド群)に分けて検討。
PD:10ml/kgの1.5%ダイアニールの1時間サイクルで使用
フロセミド:1mg/kgを6時間毎に投与を2日、その後は担当医判断。
primary outcome;術後1日目の体液バランスがマイナスに傾いているか。
結果:
73名の乳幼児が組み入れられ、プライマリーアウトカムに差はみられなかった(1日後の体液バランス)。
違いとしては、フロセミド群では10%以上の体液overの割合が高く、機械換気の期間が長く、入院期間が長かった。また、電解質異常の合併も多かった。PD群では2名がPD関連の出血で輸血をおこなっていた。
この結果をみると、primary outcomeは変化ないが、PDカテーテルを入れた方が体液コントロールが付き、色々な合併症が少なかった印象が強い。
小児では、臨時の血液透析の閾値が大人よりも高い。
日本では少ないが、もし体液管理で今回のように大人で心臓血管手術時にPD管理をしたほうがいいのか利尿薬管理をした方がいいのかを研究がすすむとおもしろい。
ただ、この組み入れのように腎不全ない人におこなうのははばかられるであろう。
日本ではPDはまだまだ普及も少ないため、しっかりと広めていけるように努力しよう。
neph JCより引用