2017/06/18

抗凝固薬と腎機能障害 1

今回は抗凝固薬と腎機能障害について考えてみる。
当ブログでも以前にも抗凝固薬については色々と触れている。

まず、抗凝固薬についての簡単な振り返りである。
よく比較されるのが、抗血小板薬である。

ご存知のように抗血小板薬は血小板血栓(血小板凝集に伴いできる)を防ぎ、抗凝固薬はフィブリン血栓を防ぐ。

血小板血栓に関しては動脈(流れが早い所)に多い。そのため、脳梗塞などの予防にはこう血小板薬が用いられる。

対して抗凝固薬はフィブリン血栓は静脈(流れが遅い)に多い。そのため、深部静脈血栓症や心房細動の際の血栓予防に用いられる。

抗凝固薬は作用機序によって大きく3つに分かれる。
・ビタミンK拮抗作用(Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹの凝固因子の補因子)のあるワーファリン
・直接的にトロンビンを阻害するダビガトラン
・Ⅹa因子(トロンビンの活性化を促進する)阻害薬のリバロキサバン、エドキサバン
、アピキサバン
がある。

ちなみに商品名は
  1. ダビガトラン(商品名:プラザキサ®)
  2. リバーロキサバン(商品名:イグザレルト®)
  3. アピキサバン(商品名:エリキュース®)
  4. エドキサバン(商品名:リクシアナ®)
  5. である。

ワーファリン以外の抗凝固薬の総称に関しては以前はNOAC(novel oral anticoagulation)と言われていたが、2015年の国際血栓止血学会の提言でDOAC(direct oral anticoagulation)という名称の呼び名になった。
この呼び名に関してもNOACが新規の時期を過ぎたために、違うのにしようと先の国際血栓止血学会はボードメンバーに様々な用語の提案をしている。
具体的には
・「直接経口抗凝固薬(DOAC:direct oral anticoagulation)」
・「非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC:non vitaminK antagonist oral anticoagulation)」
・「新規経口抗凝固薬(NOAC:novel oral anticoagulation)」
・「経口直接阻害薬(ODI:oral direct inhibitor)」
・「特異的経口直接抗凝固薬(SODA:specific oral direct anticoagulant)」
・「標的特異的経口抗凝固薬(TSOAC:target specific oral anticoagulation)」
が提示され、
DOAC(58.4%)、TSOAC(49.4%)、非ビタミンK拮抗OACでNOAC(39.0%)の順であった。

まずは、ここまでで、次回これらを使うことの腎臓にとっての影響などに触れたいと考える。