2017年6月12日月曜日

滝を追いかける 2

 移植直後の多尿は、経験すれば忘れない(アメリカ時代、移植ローテーションの月に書いた)。けれど、移植を経験しなければ、移植直後に多尿になるということは意外と知られていないかもしれない。

 無尿の透析患者さんが、移植の瞬間からどんどん尿が作られるのは感動的でもある。逆に、献腎で虚血時間が長いなどあればDGF(Delayed Graft Function)、つまり移植後もしばらく透析が必要になり、眠っている腎グラフトが起きるまで待つ。
 
 おそらく移植施設の数とおなじだけ輸液プロトコルがあって、統一されたものはない(Clin Trans Proc 2002 34 3142)。ただ、多くは「維持液」と尿量に応じて増やす「補充液」の二本立てで、この補充液を徐々に減らして「いたちごっこ(autodiuresis)」を防いでいるのはコンセンサス。

 Handbook of Kidney Transplantation5版の例は、維持液が5%グルコース30ml/h、補充液がハーフ生食(移植後の尿の組成にちかい)。補充液は、1時間の尿が200mlまでは100%、それ以降は50%補充している。300mlなら、200+100×50%で250ml。電解質や酸塩基平衡は、適宜測る。
 
 こんなに丁寧に輸液するのは移植後がクリティカルな時期だからで、AKI後の利尿期にそこまではできない。けれど「維持液と補充液に分ける」「尿組成にあわせた補充液を選ぶ」などの考え方や、「尿の一定量ごとに一定量の輸液を補充する約束オーダ」、などは役に立つかもしれない。

 移植後多尿は感動的な日常茶飯事とはいえ、ときに危険なことも。つづく(写真はイグアスの滝)。