2017年6月28日水曜日

腎臓内科と五苓散 2

 五苓散がむくみをとる仕組みは科学的に説明できるのか。調べてみると、水チャネル、アクアポリンに関係しているようだ。しかも、バソプレシンの直接支配下にないアクアポリンに。Plot thickens(奥が深い)!

 アクアポリンの発見でPeter Agre先生、Roderick MacKinnon先生にノーベル化学賞が贈られたのは2003年のこと(写真はアクアポリン1を発現させたカエルの卵が低張液のなかで水を吸って膨れる様子、Annu Rev Biochem 1999 68 425より)。




 アクアポリンには家族がいて、アクアポリン1、2…など番号で呼ばれる。バソプレシン下に集合管細胞の内腔に出て水を保存するアクアポリン2が有名だが、他にもたくさんある。腎臓だけでもこれだけある(図、Physiol Rev 2002 82 205)。




 2以外のアクアポリンについては、まだわからないことが多い。それでも、これらが水以外の分子も通すこと(8がアンモニアを通すことは触れた)、病気にも関わること(4に対する自己抗体がNMOをおこすことは触れた)などわかってきた。

 五苓散は、調べた範囲でアクアポリン3-5抑制に関わることがわかった(漢方医学 2013 37 2 120、日本の礒濱洋一郎先生らの研究)。とくに4の抑制に働き、五苓散による脳浮腫治療(慢性硬膜下血腫、あるいは、写真のようなアルコール頭痛にアルピタン®が2016年秋から販売されている)の裏づけになっている。マンガンが関与しているらしいこともわかっている。




 では、腎臓ではどうか?上図のアクアポリン3-5に、どのように作用するのか?調べた限りでは見つからなかった。AQP発見のPeter Agre先生は米国腎臓内科学会誌に寄稿している(JASN 2000 11 764)。日本腎臓学会が、すでに研究しておられる先生方と協力して、世界に通じるあらたな水代謝メカニズムをみつけたらステキだなと思う。つづく。


(注:新しいシリーズが途中で始まる雨後のタケノコ形式なこともございます、引き続きお楽しみくださればさいわいです)