2017年6月8日木曜日

滝を追いかける 1

僕たちのキセキさん、

 こんにちは!いつもブログ、楽しみにしています。

 きょうは質問にメールしちゃいました(> <)!

 AKIから回復して「利尿期」の入院患者さんって、輸液どうすればいいですか??

 いつも「3本(1500ml/d)」とか、「5本(2500ml/d)」とか、なんとなくでオーダーしちゃってます...f(^^;)

 でも、滝のようにでる尿をみながら不安なんです。。。

 追いつかなかったらどうしよう…(××;)

 とか、

 追いかけすぎてもいたちごっこだし…(-ω-;)?

 とか考えちゃって。もし何か参考になるものがあれば教えてください!

 それでは、今後の投稿も楽しみにしてます☆

 ネフロ・ガール




 彼女になんと答えよう?

 正直「追いかけて、追いかけても、つかめないものばかりさ(CHAGE and ASKA 『太陽と埃の中で』、1990年)」などと、彼女にわからない冗談をいってお茶を濁したくなる。調べてもあまりよい文献が見つからないからだ。

 Post-ATN diuresisで検索して、かろうじて17年前の家庭医向け総説(Am Fam Physician 2000 61 2077)に「数日後から数週間は多尿になるので脱水に気をつけて」の一言があった。その根拠となる22年前の総説(Lancet 1995 346 1533)にも「ARF(当時はまだAKIじゃない)はまず乏尿期、つぎに利尿期になる」とあるだけ。

 それより上位にヒットするのは、50年前の西ドイツの論文(Proc Europ Dial Transpl Ass 1967 4 297)で、「ARF後の多尿は、総たんぱく濃度がさがると止むが、アルブミンを補充すると再開する」という、昔のアル・ラシ(アルブミンとラシックスを一緒に注射し利尿を図った治療)を髣髴とさせる内容だ。

 ならば、Google先生に頼るのはやめて自分の脳を使うしかない。

 AKI後の多尿には、主に三つが考えられる。一つ目は、たまっていた浸透圧物質がでていく際におこる浸透圧利尿。二つ目は、尿細管障害による一種の「腎性尿崩」状態。三つ目は急性期の輸液負荷した分が戻ってくることだ。

 そう考えると、AKI後の利尿期と似たような場面がふたつある。

 ひとつは、移植直後の多尿だ。

 PEKTをうけるCKD患者さんであれ透析患者さんであれ、移植前には老廃物がたまっている。腎グラフトは生体腎であれ献腎であれcold ischemia timeとwarm ischemia timeが存在するから、虚血後再潅流で尿細管機能が完全ではないかもしれない。そして、移植前・移植中は低血圧を避けるため、DWより残して透析を終えたり輸液したりする。

 じゃあ、移植直後の多尿について分かっていることはなんだろう。つづく(写真はナイアガラの滝)。