前回の投稿でsuPARとCKDについて記載した。これは、Nephrologyの2015年のインパクトのあるもので14番目にランクされた(ちなみにこの年の1位はSPRINT trial)。
今回、nature medicineから基礎の分野であるがsuPARに関する論文が発表され、2016年のインパクトのある論文の1位を獲得しているので見ていただきたい。
この論文は
タンパク尿の増加は腎疾患(糖尿病や高血圧や遺伝子異常や薬物や感染や原因不明なもの)の特徴である。suPARは前述した様にCKDの進行や発症に関連がある。例えばFSGSなどとの関連性もある(Nat med 2011)。
しかし、suPARの上昇が未来の腎疾患の予測になるかは不明確であり、今回の論文では骨髄由来のimmature myeloid cellsがsuPAR上昇に関連あるものとして、動物実験でsuPAR高値を持つタンパク尿を有する動物の増加したGr1(lo) myeloid cellsを健康なマウスに導入しsuPARとタンパク尿を有する腎疾患の関連を示すものである。
この論文はとてもよく練られているものであり、今までFSGS(移植後の再発も)やCKDとの関連性が言われていたsuPARがタンパク尿の腎症との関連性があるとのことであり、今後このsuPARを抑えることで腎疾患のコントロールがつきやすくなるのかもしれない。
この様に基礎実験の上に臨床が成り立っていると実感する論文であり、また今後の腎疾患の未来を明るくするものであると感じた。