2016/12/13

被嚢性腹膜硬化症〜腹膜炎との関連は?〜

被嚢性腹膜硬化症(Encapsulating peritoneal sclerosis:EPS)は現在ではまれな腹膜透析患者の合併症である。しかし、死亡率の高い疾患であり我々もしっかりと注意して管理する必要がある。
個人的には、なるべく腹膜透析を長くさせてあげたい反面とEPSの発症はどうなのだろうと常に診療の中で気を揉んでいる。

・EPSの歴史:
EPSが報告されたのは、1980年に報告され(Arch.Intern.Med. 140,1201–1203 )、1996年には0.9%、2005年には3.3%に上昇していた。
2009年の報告では0.7-3.3%となっておりやはり一定数の患者はいるため注意する。
やはり、一番は死亡率の高さで25-55%の死亡率があることは知っておかねばならない。

・EPSを考えるときに
腹膜透析患者はもちろんではあるが、非腹膜透析患者にも起こりうる。自己免疫疾患やサルコイドーシスや腹膜や腹部の悪性腫瘍や感染患者、慢性的な肝硬変の腹水患者、β遮断薬投与患者などは考える必要がある。

腹膜透析患者においては単純腹膜硬化症という1st hitの前段階がある状況で、急激なPDの休止や腹膜炎や移植などが2nd HitとなりEPSが発症すると考えられている。

腎移植後のEPSも報告されている(Nephron.Clin.Pract. 111,149–154.) 
腹膜炎に関しては繰り返すものでの報告があり、菌としては緑膿菌や黄色ブドウ球菌や真菌などが関連性があるとされる。

腹膜劣化が進んだ症例では腹腔洗浄を行い待機的にカテーテル抜去を検討するが、腹膜炎の症例で抜去が必要な症例(難治性腹膜炎、再燃性腹膜炎、難治性出口感染と皮下トンネル感染、真菌感染、反復性腹膜炎、マイコバクテリウム属による腹膜炎)で腹膜劣化も進んでいる症例ではいつ抜いた方が良いのであろうか??
これは、今後調べてみたい。

腹膜透析ができるような環境をもっと作っていけたらと思う。