2016/12/24

利尿剤が効かない!?(利尿剤抵抗性について考える) パート3

利尿薬抵抗性の症例を見たときにアルゴリズムがあるといいなと思うのは僕だけだろうか?
アルゴリズムはその流れに乗ればある程度うまくできるので好きなのだが、もちろんしっかりとなぜこのようなアルゴリズムになっているかなどを考えなくてはいけないと思う。
今回、アルゴリズムを乗せる。

1:アドヒアランスの不良やNSAIDsの使用はないかチェック!!
2:食事で塩分制限はできているか?
3:症例のPK,PDの点から考えて一回の利尿薬の投与量を増量したほうがいいのか回数を増やしたほうがいいのかを考える。
4:経口のループ利尿薬を使用し、ダメなら違う作用の利尿薬を加える(遠位尿細管の薬や近位尿細管作動薬など)
5:点滴投与を考える。ダメなら持続投与も考える。

パート2を読んでいただいた方にはスッと内容が理解できるであろう。

利尿薬抵抗性を乗り越えるために重要な点は
・2つの作用タイプの利尿薬を使用する(ループ利尿薬がファーストライン治療薬)。
・肝硬変症例であればフロセミドとスピロノラクトンの併用が様々なデータの蓄積がある。
・肝硬変以外の併用薬に関してはエビデンスが少ない。なので、小規模の研究からサイアザイドをセカンドラインの治療薬をして推奨されている。
・タンパク尿が出ている症例ではプラスミンの働きでENaCの活性が生じているので、ENaC阻害薬がいいかもしれない。

また、アセタゾラミドがペンドリンの阻害を起こすのでセカンドラインではどうだろうという意見もある。

本当に浮腫は悩まされるし、難しい。

ちなみに今回の症例はフロセミドの投与を行いつつ(しっかりと量と回数を注意して)、あとENaCを阻害するトリアムテレンを使用し、浮腫の改善を認めた。
つまり、今回の症例は
ネフローゼ、慢性腎不全、ENaC亢進などが主に利尿薬抵抗性に関連していたのだろう。


あと、ポイントとして利尿薬はスピロノラクトンとトルバプタン以外は糸球体濾過を受けずに近位尿細管から基本的には分泌されて作用するのはポイントだろう!

どうであろうか?
かなり深く抵抗性に関してかかせていただいた。腎臓内科は利尿薬使用のスペシャリストとしてしっかりと把握しなくてはと常に思う。