では治療はどうしたらいいであろうか?
□血液透析患者がけいれんした場合に
・血液透析をやめて、必要があれば補液を行い酸素投与を行う。
・透析時に転倒のリスクがない場所に移したり、けいれん中には口に何かを入れない。
・人の応援を呼ぶ(RRSなど)。ほとんどのけいれんは5分以内に頓挫する。
・5分以上持続するなら気道確保やベンゾジアゼピンの点滴を第一選択治療として行う。
□血液検査で血糖・カルシウム・ナトリウム・マグネシウムや他の電解質を検査する。
□予防に関して
・尿毒症性脳症:透析の開始を行う。
・不均衡症候群:グリセオールの使用を行なったり、初回の透析効率を落としたりしてBUNの変動の幅を少なくする。
・エリスロポエチン治療:ヘモグロビンの急激な上昇を避ける。
・透析の低血圧:体重が適切か?心機能はどうか?などをしっかりと評価する。
□抗けいれん薬の開始
通常の場合と同じであるが、初回けいれん時は抗けいれん薬は開始しない場合が多く、2回目以降にけいれんが生じた場合には抗けいれん薬を導入する。
初回けいれんでも
・脳波でてんかんを疑う場合
・脳腫瘍、脳挫傷、中枢神経障害などの原因があり症状を生じる場合。
・睡眠中に初回の発作が生じた場合
などは抗けいれん薬を導入することを考慮する。
□抗けいれん薬は何がいいか?血液透析患者では。
多く使用されるものはレベチラセタム(イーケプラ)である。他の薬物との相互性が少ない。
使用する場合には500-1000mg/dayで使用する。
他のものではラコサミド(ビムパット)も他の薬物との相互性が少ないため有用とされる。
逆にフェニトインやバルプロ酸などは薬物との相互性が多いため血液透析患者では推奨されない。
□透析で抜けるの?
レベチラセタムやラコサミドなどの新しい抗けいれん薬は透析で除去される。そのため、透析後に血中濃度は下がりやすいため、維持できるように管理する必要がある。
けいれん時の薬物に関しては専門的な部分になることも多い。しかし、新しい薬などは把握しておく必要性があるし、逆に薬物の相互作用が大きい薬を使用している場合には中止なども考えなくてはならない。
けいれんは起こるとびっくりすることが多いが、しっかりとした管理をすることが重要である。