2016/12/22

利尿剤が効かない!?(利尿剤抵抗性について考える) パート1

利尿剤は腎臓内科がよく使う薬の一つである。
薬の選択に関してはもちろんであるが、効かない時にどうしよう?と迷うことが多いと思う。今回、AJKDに利尿剤抵抗性についての総評があったので読んでみた。

利尿薬の抵抗性に関しては定義としては
「利尿剤投与を最大量使用しているが、望んだ浮腫の改善がない。」
ものである。

利尿剤抵抗性の原因としては
・診断が間違っている(浮腫が静脈うっ滞やリンパ浮腫など)
・塩分制限や水分の制限が守られていない。
・薬が腎臓に届いていない。
 -アドヒアランスが悪い
 -量が少なすぎる、投与回数が適切でない
 -吸収が悪い(腸管吸収など:ネフローゼ症候群)
・利尿薬分泌の低下
 -尿毒素による利尿薬の吸収障害
 -腎血流の低下
 -腎の機能している範囲の低下
・薬物に腎臓が働かない
 -GFRの低下(心不全や肝不全など)
 -有効循環血液量の低下
 -RAA系の活性化
 -NSAIDsの使用(遠位の尿細管での代償性Na再吸収亢進)

症例を提示しよう。
55歳男性で浮腫と呼吸困難で入院。
肝硬変にはいたっていない慢性C型肝炎があり、MPGNで2回再発がある。
MPGNの再発はステロイドと利尿剤の併用で改善していた。
ただ、再発の影響か腎機能に関しては低下して、GFRが37mL/min/1.73m2まで低下。

今回は体重が20kg増加して、腹水も伴っていた。血圧は145/110mmHg
今回の診断としてはネフローゼ症候群の再発と考えられた。

腎生検が施行されて、C型肝炎関連のMPGNの再発が考えられた。

治療でフロセミドの投与を行い、持続まで行ったが体重減少に関してしっかりとした反応がなく、サイアザイド利尿薬なども使用するも反応が乏しい状態であった。

どう考えよう?利尿薬も最大に使ってるのに、、
上の抵抗性のに当てはまるものはあるのか??

次回少しずつ紐解いてみる。