2016/12/14

低ナトリウム血症に尿素投与を考える。

低ナトリウム血症の治療は悩む部分が多いし、難しいことが多い。

ご存知のようにガイドラインが2014年に欧州と米国から出ており、欧州のガイドラインがよく引用されており、その中でSIADHの治療に尿素の負荷が推奨されている(推奨は2D)。

In moderate or profound hyponatraemia, we suggest the following can be considered equal second line treatments: increasing solute intake with 0.25–0.50 g/kg/day of urea or a combination of low dose loop diuretics and oral sodium chloride.

では、尿素の負荷はどのように作用するのか?を少し考えてみたいなと思う。

調べてみると意外に尿素の歴史はふるい。。
1950年代に提唱され(この時は受け入れられなかったよう)、1960年代には頭蓋内圧や眼球内圧をあげる治療として標準治療となった。尿素は点滴で投与されていたとのことで、今では想像がつかない。(Urovertという点滴:糖を含有し溶血を防いでいた。)
その後、マンニトールなどが簡便であるということで使用され、Urovertは過去のものとなってしまったらしい。
尿素の点滴は問題が色々とあり、尿素は腸管吸収も良かったことから経口薬として1892年に利尿薬として初めて使用されたまた、1926年の報告では心不全で使用された報告がある。
このように尿素負荷は注目を浴びている。

尿素は有効浸透圧か?
→尿素は非有効浸透圧である。アルコールやエタノールと同じである。
有効浸透圧としてはブドウ糖やマンニトールや高張性造影剤などがある。

血液に尿素が入ると:
尿素に関しては血液中に入っても筋肉細胞や脳細胞などに分布し、血清浸透圧はわずかに上昇はさせ(20mOsm程度)、BBBを介して脳細胞から水が移行する。
しかし、浸透圧格差はすぐに是正される。
理由としては
1:脳細胞内にゆっくりであるが尿素が移行する。
2:尿から尿素排出で尿素が下がる。

尿からの尿素は:
尿素投与ですぐに尿素の排泄が亢進される。腎機能が問題ない方であれば12時間で全てが排泄される。最大尿希釈力から最大排泄尿量がわかるが、溶質負荷に伴い最大排泄尿量が増加する。その際に自由水の排泄が亢進する。

尿素負荷に伴うNa上昇に関しては自由水排泄に伴うものである。

実際3%生理食塩水と比較するとどうかも乗っていたが、3%に関しては希釈尿が上昇した際にovershootする可能性があるが、尿素では少ないとされている。

しかし、尿素の内服はどのようにすればいいのか?美味しくないそうである。
アミノレバンも一つの方法である。これも美味しくないそうである。
美味しくないため患者さんのQOLが極端に落ちたそうである。

とても勉強になる。患者さんにとって一番いい治療が選択できればいいと感じる。