ESA(erythropoiesis stimulating agent)の使い方は腎臓内科と血液内科で大きく違う。透析の有無に関わらず、慢性腎臓病患者の過剰なESAを戒めるスタディNHS(NEJM 1998 339 584)、CHOIR(NEJM 2006 355 2085)、TREAT(NEJM 2009 361 2019)などがあり、腎臓内科医は使用に関し保守的だ。CREATE(NEJM 2006 355 2071)はprimary endpointに有意差がなかったがunderpoweredだ。
さて、ESAはEpoetin-alpha(翻訳後修飾である糖鎖結合の違いでβ、δ、ωなどもあるらしい)、Darepoetin(糖鎖が二つ余計について週一回でよい)が用いられているが、先週のNEJMにpeginesatideの薬効(Hgbの上げ率)と有害事象をEPOと比較してnon-inferiorityを調べるEMERALD(NEJM 2013 368 307、透析患者)、PEARL(NEJM 2013 368 320、非透析CKD患者)スタディが載った。
Peginesatideとは、non-EPO ESAと呼ばれるように(EPOに似て非なる)合成ペプチドのダイマーがpegilatedされた薬だ。半減期が長いので月一回でよいが、合成ペプチドに若干の抗原性があるので使用例の1.2%が抗体をつくり、その半数は薬を無効化するという(製薬会社ウェブサイトより)。
それで結果は?EMERALD、PEARLともにPeginesatideはEPOに比べてnon-inferiorだった。いまのところ月に一回でよいという他にメリットがないし、新しい薬で何かと不明な部分もあろう。EPO受容体にくっついて、受容体の細胞内へのinternalizationを起きにくくするのか?など機序に不明な部分もある。現段階で高コストの使用を正当化する理由は少ないが、そのうち一般的になるかもしれない。
[2013年3月追加]Peginesatideは、アナフィラキシー副作用のため市場から自主回収された。