腎移植の患者さんがC diff感染を起こしたら、治療はimmunocompetentな患者さんとどう違うのか?Immunocomoromizedな移植患者さんだから、さぞかし特別な配慮がいるのだろうと想像されるが、エキスパートオピニオンの論文(AJT 2009 9 S35)によれば原則は通常のC diff治療と共通している。すなわち、軽症から中等症ならmetronidazole、重症ならvancomycinというわけだ。まあ臓器移植患者さんに特化したよいエビデンスがないからというのもあるだろうが。
ただし、免疫抑制されている以上、臓器移植患者さんの重症C diff感染はより危険と思われる(外科的治療を要する例が多かった、colectomy後のmortalityが高かったと言うデータも)。それで、前掲のエキスパートオピニオン論文が推奨するアルゴリズムでも下痢の回数、発熱、白血球数高値などあれば基本vancomycinを第一選択にしている。
余談だが、C diffを嗅ぎ分ける犬というのがオランダの大学病院で試験的に用いられている。二歳になるビーグル犬のCliffちゃんは、実験で感度100%、特異度97%でC diffを嗅ぎ分けることが出来た(BMJ 2012 345 e7396)。C diffはヒトでもある程度「ああ、これは…(C diffっぽい)」と分かるが、さすがは犬の嗅覚。ちょっと可哀相でもあるが、役立ってて偉い。