2013/01/25

Monoclonal IgM and kidney

 IgMがモノクローナルに血中にあれば、IgMは五量体で他の免疫グロブリンよりも血球を凝集させる。それで粘凋度が上がり各種血栓症を起こし気づかれることが多いと思っていた。でも、全身には血栓症状がなくて、でも腎臓にはIgM沈着とさまざまな腎炎・腎症を起こすこともあると知った。
 文献によれば病変はTMA(thrombotic microangiopathy)、MPGN(membrano-proliferative glomerulonephritis)、LIK(lymphocyte infiltrate in kidney)、アミロイドーシスなど様々だ(CJASN 2008 3 1339)。膜性腎症を起こしたという報告もある(Scand J Urol Nephrol 2011 45 473)し、cast nephropathyの報告もある(Intern Med 2012 51 172)。
 ところでどうして私はWaldenstrom macroglobulinemiaと言わないのか?それは、モノクローナルなIgM産生はリンパ腫、白血病、骨髄腫などさまざまな血液疾患で見られるからだ(それら全て含めてWaldenstrom macroglobulinemiaと言えないこともないが)。治療法は基礎血液疾患に準じる。
 しかし、もしIgMだけで、末梢血にも骨髄にも異常なリンパ球も形質細胞も見られなかったらどうしよう?Bリンパ球をターゲットにrituximab?形質細胞をターゲットにbortezomib?ここまできたら、私なら血液内科に委ねる。ステロイドが効かなかったという報告はあるようだ(Clin Nephrol 2012 77 254)。