2013/01/17

WRN

 Renal Grand Roundはいろんな人が発表するので、自分なら進んで調べないようなことも学べる。こないだはwarfarin-related nephropathy(WRN)がテーマだった。Related、というように因果関係は明らかでない。

 スタディ(KI 2011 80 181)でも「ワーファリン内服+(WRN以外で説明のつかない)クレアチニン上昇=WRN」という定義が曖昧だ。この定義によればCKD群でも非CKD群でもWRNは起こり、かつmortalityに相関しているという。

 どうしてワーファリンを飲むと腎不全になるのか?推察されている機序の一つは糸球体出血(と赤血球円柱による尿細管閉塞)だ。CKDモデルラットでワーファリンを投与すると再現できる(Am J Nephrol 2012 35 356)。

 ただワーファリンはそもそも殺鼠剤として開発された薬だし、ヒトでも同じことが起こっているかは定かでない(INRはヒトの治療域に合わせられたが)。それに、どうして他の抗凝固薬で同じことが起こらないのかも定かでない。

 なお、以前ここに書いたかもしれないがワーファリンはWARF(Wisconsin Alumni Research Foundation)にあやかって付けられた名前だ。"-arin"で終わるのは、Coumarin(腐った牧草に含まれる抗凝固成分)にあやかっているから。