腎臓内科医にとって最大の夢-CKDならびにESRD患者さんを心血管疾患から救うこと-をかなえるため研究は続く。私は個人的にFGF23とKlothoに希望を見出しているが、もう一つの重要なプレーヤーはPTHだ。それを抑えるcinacalcetがESRD患者の死亡率と心血管疾患を予防するかを調べた大規模スタディ、EVOLVEが昨年に出た(NEJM 2012 367 2482)。
カルシウムを保ってもリンを下げても活性化ビタミンDをあげてもPTHが下がらない、でも副甲状腺摘出をしない(妥当なcinacalcetの適応だろう)約3600のESRD症例にcinacalcetとプラセボを投与した。しかし平均21ヶ月の追跡で、primary end-point(死亡と心血管系イベント)で両者に差はなかった。それで皆がっかりした。
PTHを下げれば血管の石灰化が緩和され心疾患予防に効くはず、というのは理にかなっている。なんとかポジティブな結果を引き出そうとsub-group analysisが行われ、「よく見ると効いている」などと宣伝されている(Nephrology Times 2012 5 1)。が、薬の高コストを考えると(2014年までにはESRDの包括医療費に組み込まれるらしいし)適応は広がらなさそうだ。