(前回からの続き)そしてこないだ、AKIでCVVHDFの代わりにHVPD(high-volume PD)を用いるという治療選択肢にであった。以前から「PDは血行動態に優しいから実はICUのcritically-ill patientに向いているのかな?」と考えたことはあったが、クリアランスが十分でない、腹膜炎など感染症の心配、腹圧が高まり肺換気が阻害されるなどの欠点もあろう。
それで、サンパウロ大学医学部のグループが自施設の経験を振り返った(CJASN 2012 7 887)。7年で722人の患者さんがAKIで透析を受け、うち204例がHVPDされた。透析液は2000ml、dwellが30-60分、16-22サイクル/24時間で継続して行い、クリアランスは十分保たれた(weekly Kt/Vが3.5)。
UFは最大で2L/d程度だが、透析液のdextrose濃度について詳しい記載がない(2L/dはおそらく4.25%によるものだろう)。最初の24時間以内で10%がカテーテル関連合併症でPDから降り、24時間生存群の10%が腹膜炎(おもに緑膿菌と真菌)になった。この数字はけっこう多いと思う。
これからはもっとCVVH(DF)の代わりにHVPDすべきか?他のモダリティを比較するスタディではないが、合併症が多いのと、HVPDはアグレッシブな除水には向かなそうだ…。PD(ESRD)患者さんが急性疾患で低血圧になったら、CVVH(DF)に切り替えるべきか、HVPDすべきか?CKD、ESRD患者は除外されているので何ともいえないが、既存のPD器械が上記設定で回せるならトライしてもよさそうだ。