教育熱心な先生がたいてい面白いのは、彼らがただ物知りなだけでなく、相手にとって分かりやすく、面白く、やる気が起こるようにするプロだからだろう。Johnston先生の話も面白かったが、Hoenig先生の話はもっと面白かった。彼女は腎臓内科を何倍も面白くする10のコツ(これは私がつけた題名だが)について話した。そのひとつは透析についてもっと教える、だった。
これは私も同感だ、しかし米国腎臓内科コミュニティには「透析についてレジデントに教えるな、透析診療が嫌で腎臓内科を選ばない人が多いから」という風潮がある。しかし腎代替療法である透析を学ぶことで、腎臓のさまざまな機能を教えることができる。水排泄、さまざまな分子量の老廃物排泄(NEJM 2007 357 1316)、EPO、活性化ビタミンDなど。
また現在では誰でも受けられるが、透析はあくまで生命維持装置である。実際、50年前の米国では慢性腎不全患者に対して透析器械の数が足りず、シアトルのSwedish病院では俗に"God Committee"と呼ばれる委員会が、誰を生かすかという順番を取り決めた。彼女は当時の雑誌記事を紹介しているそうだ。
ほかにも、尿沈査をiPhoneで撮影する(コツが要るが出来るらしい)、JASNのMILESTONES IN NEPHROLOGYシリーズを紹介する、TTKGでもfree water deficitでも一緒に計算する、翌日の検査データを予想する、coffee talk(ちょっとした時間にする話、たとえば「血清Naは140Eq/lなのに、生理食塩水のNaは154mEq/l。はい、議論して!」とか)などが挙げられた。