2012/11/04

Evidence-based management of hyperkalemia

 高K血症の心毒性は、resting potentialが上がるので心筋細胞膜のexcitabilityがあがるからとされている。同じことは横紋筋にも起こり、この場合なんと高K血症によりresting potentialがthreshold potentialより高くなり筋細胞が不応になってしまうことがある。それで、低K血症のみならず高K血症が筋力低下でやってくることもある。

 高K血症と心電図変化の相関は、実際には教科書にあるほど典型的ではない。スタディによれば、6-9.3mEq/lの高K血症で心電図変化があったのは46%に過ぎず、致死性不整脈になった14例のうち事前に心電図変化があったのは1例だけだった(CJASN 2008 3 324)。

 おもしろかったのは、同じK濃度でも、Ca濃度を下げただけでT波の上昇が見られたという症例だった。高K血症でCaを投与するのはthreshold potentialを上げるためだが、たとえば透析患者さんにcinacalcetを投与した場合、Caが下がりthreshold potentialが下がるので心筋のexcitabilityが高まる。

 インスリンはKを下げるが、持続(Am J Med 1988 85 507)でもボーラス(KI 1990 38 869)でも低血糖がかなり起こる。グルコースを多くあげるか(AJKD 1996 28 508)、β刺激剤を併用すれば(糖新生が起こるから)いいかもしれない。Beta-agonistの効果は、0.6mEq/l/10mg、0.9mEq/l/20mg程度であまりよくない(Am J Med 1988 85 507)。患者さんがβ遮断薬を飲んでいれば効かないし、虚血性心疾患があれば危険だ。

 重曹は、重度アシドーシスでは有効だ。というのも、アシドーシスでは細胞のNHE1チャネルからH+と一緒にNa+が細胞内に入れないので、重曹を上げるとNBCe1チャネルからHCO3-と一緒にNa+が細胞内に入り、Na-K-ATPaseが回りK+を細胞内に取り込むことができるからだ(JASN 2011 22 1981)。

 しかし、アシドーシスでなければ、volume expansionによる希釈効果しかなく、その効果は生理食塩水と変わらない。Resin(Kayexalate)は、SorbitolとSorbitol+ResinでK降下作用に差がなかった(Gastroenterology 1995 108 752)。