2012/11/03

MN2

 膜性腎症の原因となる抗原と抗体が次々と明らかになっているが、このトピックについてJASNにレビュー(JASN 2005 16 1205)を書いたフランスのRonco先生が最新の研究結果を含めて講演した。PLA2Rの他にBSA(NEJM 2011 364 2101)、NEP、rhASBの話がでた。BSAは小児のケースだが、消化管のバリアが未熟でBSAが消化されずに血液に入り、そのままではcationicなので陰性にチャージしたGBMに沈着すると考えられている。NEPも新生児の話(NEJM 2002 346 2053)だが、母親にMME gene mutationがあると胎児のNEPに対して抗体が作られ、胎児腎に膜性腎症が起こる(Nat Clin Pract Nephrol 2006 2 388)。ただし抗体の種類が重要で、IgG4は病原性がなく、IgG1に病原性があると分かった。このようにIgGのサブクラスについても調べられていて、idiopathic MNのanti-PLA2R抗体ではIgG4が多く(JASN 2012 23 1735)、LNではIgG3が多いなど違いがある。さらに移植後13日後に再発したMNでグラフトにmonoclonalなanti-PLA2R IgG3抗体がみつかったという報告も紹介された(JASN, in press)。
 [2016年7月追加]原発性膜性腎症にもうひとつ、足細胞抗原のthrombospondin type-1 domain containing 7A(THSD7A)にたいする抗体もみつかっている。西洋では原発性膜性腎症の5%、日本では9%と地域差があるようだ(レビュー、AJKD 2016 68 138)。