今回は、2010年のNKFと違って「それ知ってる」ということも多い。遠位尿細管のNa再吸収などはその一例で、Framingham study cohortのGitelman、Bartter症候群遺伝子のhaplotypeが低血圧という話などは「はいはい(それについてはうちのGrand Roundでも発表しました)」と思えた。
でもそのあと、生理学者らしき人が出てきて、ROMKチャネル、NKCC2チャネル、NCCチャネルの遺伝子変異が具体的にチャネルのどの部分に起こりチャネルをどう変容するかについて説明しだしたときは「恐れ入りました」と舌を巻きつつ「ここまで知らなくてもいいけどな」と思い、不謹慎ながら笑いがこみ上げた。
ROMKの変異箇所は主にcytoplasmic domainにあり(Am J Physiol Ren Physiol 2010 299 F1359)、mis-trafficking(Goldi体に異常チャネル蛋白が溜まる、Cell 2011 145 1102)を起こしたり、PIP2というチャネルの開放に関わる箇所でPIPが外れるようになったりしているらしい。
NKCC2の変異は、processing problem、altered response to low intracellular Clを起こしているらしい(Am J Physiol Ren Physiol 2011 300 F840)。そしてNCCは、NCC自体の変異というのはあまりない(あっても機能はほとんど正常と変わらない、J of Hypertension 2011 29 475)が、それを制御するWNKsやSPAKの異常が問題なようだ。