今回、血液透析患者における中性脂肪とHDLコレステロールの関連が心血管死亡に影響を与えることが報告された(CJASN 2017)。
私の知識では、低HDL-C血症は冠動脈疾患を上昇させ、高中性脂肪血症は500-1000以上であれば膵炎の併発の予防や冠動脈疾患の予防の観点で治療はするのは理にかなっているというくらいであった(Lancet 2014;384;618-626)。
今回の論文では、2007年1月から2011年12月31日までの期間で50673人の患者に対して行ったコホート研究で、スタチン介入下でTG/HDL-Cの基礎値と変化が死亡率とどのように関連があるかをみたものである。
結果は平均19ヶ月のフォローアップ期間で、12778人が亡くなり、そのうち4541人が心臓死を起こした。
TG/HDL-Cの上昇が血液透析患者の心血管疾患のいいアウトカムや生存率改善に寄与したとしている。
この論文でへーっと思ったのは、ESRD患者でTG高値が患者にとっていいアウトカムに働いているということである。これに関しては、実証した研究はなく今後の研究の必要性があるだろうと筆者も言っている。
慢性腎不全でTG高値の人はいて、それをどこまで治療するかは常に悩みどころではある。ただ、今回の論文を受けて新たな見方ができたなと思った。