PADの末期腎不全患者での割合は高い。米国の報告では有症状のPADは慢性腎不全stage5の患者で15%に及ぶとされ、非症候性のものを含めるとさらに多くなると言われている。
糖尿病の有無に関わらず透析患者はPADの独立因子となる。
KDIGOのガイドラインでもPADに関しては透析を開始する前には評価をするべきであるとしている。その際に身体診察(下肢動脈の拍動や皮膚の状態の把握)を行う、そして追加で画像検査やABIなどの整理検査を行う。
皮膚の状態に関しては鑑別は神経原性の足病変との鑑別であり、神経原性であれば皮膚は胼胝や亀裂が生じやすく、PADであればツルツルでテカテカしたなどの違いがある。
また、理学的検査に関しては、Ratschowの下肢挙上ストレス試験(臥位で両歌詞を屈曲させ測定が白くなるまで足関節を20−40回転させ、その後両下肢を座位にして下垂させ2分後の足背の色の変化を見る検査)は有用であると言われる。
治療に関しては一般的治療と薬物治療と侵襲的治療(外科的治療や血管内治療)に分かれる。
一般的治療は爪や皮膚ケアは重要である(当院でも透析の看護師さんがここをチェックしてくれている。)また、禁煙・運動療法も重要である。運動療法は非透析患者では1週間3回で1回30~45分、12週間が有効であったとされる。
腎臓リハビリテーショは重要な分野である。
また、創傷の適切なデブリドマンやドレッシングも傷からの感染を防ぐという意味でも重要である。
薬物療法は抗血小板薬が中心になる。シロスタゾールの経口投与(50~100mg 1日2回)は非透析患者で症状および歩行距離の改善や間歇跛行に有効であった音は報告されているが、透析患者には注意を用いて使用することが必要である。
そのほかに、透析患者ではベラプラスト(PGI2誘導体)、チクロピジンなどが有効であるという報告もされている。
そのほかに、LDLアフェレーシス治療や末梢血幹細胞移植治療などが提示はされている。
しかし、何にせよ早期発見を行い患者さんの下肢を守ることが本当に重要である。
透析患者で下肢切断をした症例では死亡率が上昇し、ADLの低下が報告されている。
足は本当に重要である。。