2017/02/01

AKIの時の透析開始中止のアルゴリズム?(A decision making algorithm for initiation and discontinuation in severe AKI)

腎臓内科医や病院によっては他科が透析を行う施設もあると思う。
やはり、AKI(急性腎不全の時の)透析開始の際に悩むのはいつ透析を開始していつやめようか?ということである。
これは正直な話、標準化したものがない。個人の経験などもおおいにある。
今回CJASNのin press ではあるが上記タイトルに合致したものがあったので紹介する。

2013-2014年の13ヶ月間の後ろ向きな研究である。
enrollされたのは177人で、白人が多く、AKIの原因としては低血圧(58%)・敗血症(51%)・尿毒症(30%)となっている。また、悪性腫瘍(39%)や免疫抑制治療(32%)の患者が多い印象はある。

ざっくりと書くので詳細は本文を参照にいただければ幸いである。
これは、SCAMP Data formというのがあり、これを埋める。


・透析の開始に関して:
SCAMPの緊急的にやらなくてはいけない項目が多く埋まっている(3つ以上)であれば透析の開始が推奨され、満たない場合には透析の開始が推奨されない。

・透析の終了に関して:
これは尿量が一日500ml以上出るか否かで判断の材料とする。尿がそれ以上出ていれば透析の中止を推奨し、出ていなければ透析の継続を推奨する。

この推奨に対して透析を行う場合と行わない場合があるが、研究ではそれを比較している。このアルゴリズムに従った場合と従わなかった場合で死亡率を比較している。
比較を行うと従った場合の方が明らかな有意差を持って低く出ている。
そのため、このアルゴリズムが有用ではないかという結論である。

また、興味深いこととしては、このアルゴリズムで全員死亡率に差があるかに関しては、60日死亡の予想が高い方であれば、アルゴリズムに従っても従わなくても差はなく、60日死亡率が低い(50%以下)の人であれば、死亡率に差が出るとしている。



なので、致死的で救命困難な人は別ではあるが、それ以外の人にこのアルゴリズムを使うのは一つの選択肢であるのかなと感じた。

今回も勉強になった。
やはりAKIの透析は個人個人の考えが強く反映されてしまう。アルゴリズムはいい点もあるが、悪い点もある。ただ、標準化という点ではいいものであると感じた。