2013/11/10

Nephrology Quiz 3

 2例目はナーシングホームに暮らす虚弱で既往の多い高齢ESRD患者のケースで、AVF(内シャント)が閉塞したあと右内頚静脈に長期留置カテーテルをいれたあとで右上肢が腫脹し、超音波でカテ周囲の血栓がみられた。どうする?正解は、透析をカテーテルで続け、抗凝固を始める。
 左に入れても右カテーテル周囲に血栓があり閉塞しているので有効な透析がおそらくできない。いきなり右カテーテルを抜くと、血栓が肺に飛ぶかもしれない。カテーテルに血栓ができる仕組みは、この論文(Lancet 2009 374 159)に美しい図があることを知った。カテーテル関連の血栓についての治療ガイドライン(Chest 2008 133 6 Suppl 454S)も知った。
 4人目の先生は、移植について。その1例目は、東南アジアからの移民高齢者で、原因不明のESRDに対してDDKT(deceased donor kidney transplant、献腎移植)3ヶ月後にグラフト周囲の痛みを訴えたが、精査すると肋骨周囲の腫瘍と胸腔内リンパ節がみつかったケース。BK DNA 17000 copies/ml。免疫抑制が効きすぎた、肺外結核。ESRDにおける結核をレビューした文献(AJKD 2013 61 33)が紹介された。そして、もちろんRFPとCNIの相互作用も。
 その2例目は、若いAB型のレシピエントがDDKT→DGF(移植後しばらく尿が出ない)後のacute rejection 2Aに対してステロイドとIVIGを受けたら、溶血性貧血になった。正解は、IVIGに含まれる抗A、抗B抗体による溶血。知らなかったが、IVIGは約1000人のドナーからの血清を集めてつくられ、会社にもよるが抗A、抗B抗体は多い(CJASN 2009 4 1993)。
 なおこの方は若いからCNI-sparingレジメンでsirolimusを内服していたが、CNIもsirolimusもTMA的な溶血は起こす(が本例はタイミングが合わない)。やっぱりCNIをキープしておいたほうが良かったのか?そもそもアドヒアランスが悪かったかもしれない。IVIGよりATG(抗胸腺グロブリン)?施設によって治療が違うのが、移植業界。つづく。