2013/11/06

Geriatric Nephrology 4

 CKD患者のケアはsingle disease processでは済まず、貧血やら血圧やら骨やら多角的・集学的治療を要する。しかしそれに加えて、CKDの高齢者には老年医学的な視点が必要になる。つまり、彼らは認知、うつ、疲労・消耗、転倒、動けない、多薬など特有の問題を持っている。それについてどうしたらよいかは、米国老年医学学会の資料があるらしい(J Am Geriatr Soc 2012 60 E1)。
 それから、余命と余生について考えること。米国の余命データ(JAMA 2001 285 2750)。余生についてはこのスタディ(J Am Geriatr Soc 2005 53 306)が知られており、要は患者さんはLDLやA1cといった数字ではなく一人で暮らせることや自分で動けることをアウトカムに考えているということだ。
 またLife-space mobilityという新しいアウトカムモデルが興味深かった。ベッドから動ける、部屋から出られる、家から出られる、庭にいける、路上にいける、街にでられる、街から出られるというように移動できる範囲(とそれによる生活の違い)をアウトカムにしたもの。これを指標にしたスタディも出始めたようだ(AJKD 2013, in press)
 これらを含めて、高齢者のCKD診療はdisease-oriented approachからpatient-centered approachにシフトしつつあり(AJKD 2012 59 293)、これからも学会などで医療界・社会に啓蒙活動が進むだろう。それらを支える研究活動も盛んに行われているようだ。