2013/11/06

Geriatric Nephrology 6

 血圧ゴールほど、ころころ変わるものもない。しかし知っておくべきは高齢化とともに脈圧があがる(SBPがあがり、DBPがさがる)ことだ。では、これらisolated systolic hypertensionをどうしたらいいのだろうか?加齢とともに血管が硬くなるのを、受け入れるべきなのか(NEJM 2007 357 789がレビューしているようだ)?

 多くのスタディは高齢者を除外しているから、この群についてモノを言う十分なpowerがない。SHEPスタディ、Syst-Eurスタディはどちらも高齢者を対象に収縮期血圧を下げ、脳梗塞についての美しいRRRを示した。しかし最近のSPS3(Lancet 2013 382 507)では有意差がなかった。一応、メタアナリシスでは75才以上の群で収縮期血圧を下げると死亡率は減らないが脳梗塞や心血管イベントは減っていたそうだ。

 85歳以上はどうか?有名なのはHYVETスタディだ(NEJM 2008 358 1887、実はCr >1.7mg/dlの群を除外している)。SBPを144mmHgにしてあげたら脳梗塞、all-cause mortalityが下がった(p=0.06)。しかし痴呆はどうか?Cochrane Meta-Analysisによれば、SBPを140-150mmHgにしても効果がなかった。

 腎保護はどうか?MDRDスタディでのBPターゲットは61-70歳群でMAPで98mmHg(SBPでだいたい145mmHg)以下だったことを思い出せば、71歳以上の高齢者で蛋白尿もわずかな場合に、SBPターゲットは145mmHg程度でもよいのではないか?まあデータはない。

 余りデータがない世界なので、現在SPRINTスタディが進行中だ。75歳以上のCKD(eGFR 29-59ml/min/1.73m2)で、SBP120以下と140以下というアグレッシブなスタディだ。結果がでるのを待とう。