2013/11/07

Geriatric Nephrology 21

 北アメリカでの高齢末期腎不全患者に対するvascular accessの議論は、「カテーテルじゃいけないの?」という質問に答えるためにあるようなものだ。内シャント手術をするのは大変だし、お金も掛かるし、作っても成長しないかもしれないし、せっかく成長しても「内シャントを作っても、腎臓病が悪化して透析が必要になる前に患者さんが亡くなる」というシナリオもある。65歳以上のESRD患者ではアクセスの種類によって死亡率が変わらなかったというスタディ(CJASN 2005 16 1449)もあるようだ。

 ただ、日本の透析患者さんの成績は欧米とぜんぜん違う(だから、不安を与えないよう余命計算モデルのリンクはここに載せていない)。それに、内シャントも日本は術後2-3週間で使うし、使用可否は腎臓内科で判断するし、血液速度もゆっくり(米国は350-400ml/minが普通)など、事情がぜんぜん違う。もっと言うと、お風呂文化とかも関係しているかもしれない(カテーテルだとお風呂に完全にはつかれないだろう)!

 こういう違いは、私も帰国してから気づいた。だから、日本にもUSRDSのようなレジストリがあるなら、いろいろデータを世界に発信したら色々お互いに変わるのではないかと思う。そして、いま私はこうして日本語で日本語を理解する人たちに発信しているが、今回学会で日本との米国の違いを話すたび「面白い」「どっかに書いて送るべきだ」と言われて、世界に日本のことを知らせるのも私の役目かもしれないと考えた。