2013/11/08

DKD

 AKI、CKDが提唱されて間がないのに、今度はDKD(diabetic kidney disease)だ。これは、実は糖尿病性腎症といってもetiologyが多彩なので、それらをひっくるめた概念として主にリサーチの便宜上から提唱されたと私は想像している。たしかに、教科書的な「過剰ろ過→微量アルブミン尿→顕性アルブミン尿→GFR低下」というモデルは、1型糖尿病で当てはまることがあるものの、そうでない病態も多い。腎生検したら別の病変がみられることもあるだろう。

 しかしそれで治療が変わることは余りないということで腎生検を控えることも多いわけだし、そういう人でも腎機能の進行・心血管系イベントなど予後は悪いだろうから、全部一緒にしようというわけだ。この定義だと、実は蛋白尿がなくeGFR低下のみというDKDも結構ある(JAMA 2011 305 2532のNHANES解析によれば、DKDの1/4~1/3)。もっとも、これが抗RAAS薬による蛋白尿の抑制+eGFRの低下なのか?などと言いはじめると話はややこしくなるが。

 どういう人がアルブミン尿のでるDKDで、どういう人がでないDKDなのか?演者の作った表によればおおまかに前者はCKDの進行が早く(CJASN 2012 7 78)心血管系リスクが高い一方、後者は男性や高齢者に多いという。こういった話があるからKDIGOもCKDをCGA(原因、GFR、アルブミン尿)二次元分類しているのだろうが、「アルブミン尿がないなら降圧剤は抗RAAS薬でなくてもよいの?」といった問いに答えるデータは少ないようだ。