2013/04/08

IgAN

 IgA腎症は米国でどう教えられているか。ここでは誰をいつどのように治療するかについて書く。IgA腎症は非常にheterogeneityがあって、ほとんど何も起こらない群から腎廃絶に至る群まで幅広いのは周知の事実だ。それでrisk stratificationが様々に試みられている。

 日本のグループが発表した多変数解析によるスコアリングも紹介され、一定の評価を受けている(NDT 2009 24 3068)。数あるリスク因子のなかでも、こちらの臨床では蛋白尿とGFR低下と高血圧が重要と考えられ(AJKD 2012 59 865)、KDIGOもそう言う。

 蛋白尿は、1g/dを越えるとリスクが増悪するというデータ(JASN 2007 18 3177)がありKDIGOにも採用されている。この論文では、治療に反応して蛋白尿が減少する限り、たとえ治療後の蛋白尿が3g/d以上であっても腎予後は良いというencouragingな結果がでた。

 もう一つのrisk stratificationはOxford criteriaと呼ばれる病理分類で、MEST(mesangial proliferation、endocapillary proliferation、glomerular sclerosis、tubular atrophy)の四項目からなる。しかしこれは今ひとつvalidateされておらず(KI 2011 80 310)、KDIGOも薦めていない。

 治療方針は低リスク、中等度リスク、RPGNないしcrescenticによって異なる(アルゴリズムはJASN 2011 22 1785)。しかしよいエビデンスがないので、KDIGOガイドラインでもレベル1の治療はACEI/ARBだけだ。

 CorticosteroidはACEI/ARB等支持療法の不応例(で、かつRPGNやcresenticでない)に推奨される(エビデンスレベル2C…)。Pozzi(Lancet 1999 353 883、パルスとprednisone)とManno(NDT 2009 24 3694、prednisone 1mg/kg/dを漸減)、二つのレジメンがよく用いられる。

 Cyclophosphamideとステロイドの併用はRPGN、cresentic例に推奨される。進行性のIgA腎症(Crが1.5-2.8mg/dl)について腎機能を驚異的に保存した小さなスタディのレジメンが用いられる(JASN 2002 13 142Ballardie protocolとも呼ばれる)。ループス腎炎と違い、MMFは成績が良くなくてKDIGOもsuggest not using MMFという。

 その他の治療としてfish oil(KDIGOはレベル2Dで不応例にsuggest using)、抗血小板薬(レベル2Cでsuggest not using)、扁摘(レベル2Cでsuggest not using)などがある。Rituximabの治験もある(NCT00498368)が、リクルートがうまく行っていないという噂だ。