2013年4月6日土曜日

Canagliflozin 1/2

 腎臓内科の教科書Brennerを読んで有機溶質の再吸収/分泌について勉強していた矢先、FDAがcanagliflozin(Invokana®)を認可した。これは近位尿細管にあるNa+とグルコースのco-transporter、SGLT2を阻害する腎臓生理学をうまく利用した薬だ。製薬業界と糖尿病関係者にはすでによく知られており、他でも上手に説明されているが、私なりに書く。

 糸球体ろ過によってグルコースがサケの遡上のごとく大量に流れてきて、近位尿細管はこれを一匹残らず回収するよう命じられている。それは古代より生命にとってグルコースが貴重なエネルギー源で、グルコースを捨てなければならない状況(高血糖)など滅多になかったからだ。

 そのために、近位尿細管細胞の内腔側には二種類のトランスポーターが用意されている。SGLT2は最初にグルコースをごっそり回収するのが役目で、いわば網。SGLT1は残りを拾い集めるのが役目で、いわば釣り。どちらもNa+-K+-ATPaseによってうまれた細胞内の陰性電位を利用している。間質側へはGLUT1とGLUT2から運ばれる。

 このシステムのおかげで、尿細管に届くグルコース量が400mg/min/1.73m2近くにならない限り、尿中に貴重な燃料である糖が捨てられることはない(CJASN 2010 5 133)。しかし血糖を下げたい場合、このシステムは邪魔だ。だからブロックしてはどうかと言うわけ。さてSGLT1、SGLT2、どちらをブロックしよう?つづく。