2013年4月15日月曜日

CRRTと抗凝固

 ある日ICUで回診しているとトントンと肩をたたかれ、振り向くと深刻な表情のpharmacist。またか…これだけで何のことだか分かる。CVVHDFを回すのに必要な静注薬の不足だ。静注薬は儲けが少ないため製薬会社が生産をどんどんやめ、需要と供給のミスマッチがすぐ起こる。既にリンと重炭酸が不足し、持続透析液と置換液バッグにこれらを添加できない(重炭酸はdefaultで入っているが)。
 今度はcalcium chlorideがないという、これは困った。というのもうちはcalcium freeの透析・置換液を用いてフィルター後にカルシウムを流すシステムだからだ。緊急追加オーダーしたけれど全国的な不足のため来る保証がないという。院内にある全てのをcalcium chlorideをかき集め、regional citrate(フィルター前にクエン酸を流しCa2+をキレートする抗凝固、そのぶんフィルター後に多くのカルシウムが要る)を止めても数日…。
 幸いどこからかcalcium chlorideが届いたが、その後も不足が頻回起こり、calcium gluconateに変えても同じことになった。それで、安定して治療できるようにcalciumを含む透析・置換液を使うことにした。足りないのはカルシウム元素ではなく静注カルシウム製剤だからこれで不足に悩まされまい(たぶん)。しかしそれではregional citrateが使えない、systemic heparinを避けたい人はどうするのか?
 CRRTの抗凝固はさまざまあるが(Semin Dial 2006 19 311)、ここではsystemic heparin、regional citrateとpre-dilutionを併用している。だから、systemic heparinもregional citrateも使えなければpre-dilution、置換液を増やす。Nafamostatはここにはない。Regional heparin(フィルタ前にヘパリン、フィルタ後にプロタミンを流してフィルタ後と患者さんのaPTTをモニタする)は、やったことないが理論上有効かと思う。