2012/07/17

Cathelicidin

CKD-associated bone metabolism disorder(CKD-BMD)は次から次に論文が出るホットなエリアだが、こないだのmini-review(CJASN 2012 7 358)で25-OH vitamin Dのautocrine作用について知った。これを信じる人は、慢性腎不全の患者では1,25-OH (active) vitamin Dのみならず、25-OH (nutritional) vitamin Dも大事だという。
 25-OH vitamin Dのautocrine作用とは、25-OH vitamin Dが単球に入り、細胞の中で1,25-OH vitamin Dになってcathelicidinをupregulateするというものだ。Cathelicidinとはinnate immunityを司るタンパク質のひとつで、MGHのグループによれば透析を始められた患者さんでこの血中濃度が低かった人は、感染症による一年死亡率が高かった(CID 2009 48 418)。
 それでは、cathelicidinレベルを上昇させるためにはどんなvitamin Dをどれだけあげればいいのだろうか?In vitroでは1,25-OH vitamin Dによりcathelicidinレベルが上昇した(Science 2006 311 1770)。臨床試験では、MGHのグループが60人の被験者で25-OH vitamin Dとcathelicidinの血中レベルを測定したところvitamin Dレベルが低い(<32)場合にのみ相関がみられた。
 そしてvitamin Dレベルが低い例に五日間で150,000単位のergocalciferolを投与して10日後にcathelicidinレベルをチェックしたところ、vitamin Dレベルが大きく変化した例(Δが32-64)でcathelicidinレベルが有意に上昇した(J Allergy Clin Immunol 2011 127 1302 e1)。小人数で短期間のスタディで、数字しか見ていないが、追試があるだろうから楽しみだ。