2012/07/11

伝説は真であった

昨年、抗高脂血症の薬による腎障害を疑った。当時、患者さんの話を聴くとタイミングが合致するので(それに高脂血症もなかったので)、薬を止めることにしたのだ。それが、半年経って、この薬は本当に腎障害をきたすことが分かった(Ann Int Med 2012 156 560)。

 これは、あちらこちらで症例報告が出されてからカナダのオンタリオ州で組まれた大規模スタディだ。Fibrate(主にfenofibrate)とezetimibeを新規に始められた数万人の群どうしを比較すると、90日以内に入院を必要とする急性腎障害が前者で多く(0.4% v. 0.2%)、50%以上のクレアチニン上昇も前者で多かった(9% v. 0.3%)。

 どうしてfibrateが急性腎障害が起こるのかは分かっていないが、腎生検までした症例報告(AJKD 2004 44 504)によれば尿細管障害が中心のようだ。そのためか、尿量にさしたる変化もなく、数年間つかわれていた薬を中止しても腎機能が戻ることがある。