2012/05/15

補体の制御

こないだのGrand Roundと、そこで紹介された文献(Nephrology 2010 15 663, Nat Rev Immunol 2009 9 729)にもとづいて補体の制御について復習してみた。こんな専門的なことをアレルギー科や膠原病科でもなく、腎臓内科が扱うなんて素敵だ。 
 補体制御分子はめちゃくちゃたくさんあって、familyを形成している。まず古典経路でC1(q, r, s)が活性化しない様にしているのがC1INH。この異常は血管浮腫を起こすことで有名だ。C4(とC2)によるC3活性化を防ぐのがC4BP(binding protein)だ。
 代替経路の制御はC3bとFactor B(合わせてC3 convertase)の解離から始まる。これをdecay-accelerating activityといい、Factor H、DAF(CD55)などが司る。逆に解離を防ぐのがproperdinだ。解離して細胞膜に残ったC3bはすぐさま分解され、これはMCP(CD46)、Factor Iなどが司る。
 Factor Hは、N末端がDAFのco-factor、C末端はhost cell recognitionの機能を持つ。つまりC末端が自分の細胞を認識して表面にいてくれるので、自分の細胞にC3 convertaseが付いてもすぐN末端が分解してくれるというわけだ。
 逆にFactor Hがないと、補体(代替経路)が活性化されるたび無闇に自分の細胞まで壊れてしまう。これがatypical HUS、DDD(dense-deposit disease、MPGNの一つ)、C3 nephropathy、それにage-related macular degenerationの機序の一つだ。
 さあC3より下流にあるterminal pathway、すなわちC5とMAC(membrane attacking complex)の制御はどうか。C5 convertaseを制御するのがCFHR1(complement factor H-related protein 1)、MACを制御するのがvitronectin、clusterin、それにCD59などだ。
 これらの分子がそれぞれどこにあって(体液中か、細胞表面か、さらにどこの細胞表面かなど)、どんな構造をしており、どんな相互作用をして、どんな病気を起こすかは、病気ごとの各論で話したほうがよさそうだ。ともかく補体の各経路とそれぞれの制御を整理したから良しとしよう。