尿路結石のレクチャが一時間あっても、なかなか一時間ですべてをカバーするのは難しい。でも例の教育熱心な先生はカバーしちゃうから凄いなと思う。おそらくまず総論、そして結石の生成に関わるプロセス(高カルシウム尿、高シュウ酸尿、低クエン酸尿、高尿酸尿)について各論で述べたから出来たのだろう。
総論ではsupersaturationとmetastableという概念を教わった。溶解度積に近い概念だが、尿にはさまざまな溶質が混ざっているのでそれぞれの相互作用を加味して計算される。結石患者さんでは治療してもsupersaturationが1を切ることはまずないが、尿酸結石やシスチン結石の患者さんでは切ることもあり、その時には石が溶ける。
Metastableとは、supersaturationを越えているので既存の石は成長するが、新しい石はできないレベルを言う。ここに留まっておればいずれ全ての石が去るはずである。Metastable域を越えると、新しい石ができる。石ができるには核が必要だ。最近の研究でメタボの人は尿が酸性のため尿酸が析出して核になり、そこからシュウ酸カルシウムが雪だるまを作ることがわかった。