腎病理で注目するのは四つ、糸球体、尿細管、間質、そして血管だ。糸球体ではまず何個あって、うち何個が硬化しているかをざっと見る。そのあとで一個一個を詳しく見て、capillary loopは開いているか、mesangial spaceはどうか(細胞数は多いか = proliferation、基質は広がっているか = mesangeal expansion)、urinary spaceは大きいか、urinary spaceに細胞はたまっているか(辺縁にあればcrescent、capillary loop間にまで入り込んでいればただのdebris)、などを見る。
尿細管はbrush borderはあるか(PAS染色が見やすい)、細胞が小さいあるいは核が膨れているか(tubular atrophyのサイン)、尿細管内(基底膜の内側)に炎症浸潤はあるか、あるいはmicro-cystic dilatationはあるか(タンパク質が大量に漏れ出て尿細管のなかで便秘の様になっている状態、FSGS、HIVAN、obstructionなどで見られる)などを見る。
間質は、線維化の程度をみたり、炎症浸潤の程度などをみる。血管は、色んな太さの枝がある。capillaryはもっとも小さく、移植腎病理ではperitubular capillaryへのC4d染色がAMR(急性免疫性拒絶反応)の診断に用いられる。
糸球体とおなじくらいの直径を持つ血管がinerlobular artery、それより小さいとpre-arteriole、arteriole。interlobular arteryになると血管壁にelastic laminaが含まれるようになり、それより大きいとarcuate artery、segmental arteryとなる。しかしそんな太い血管を腎生検で傷つけていたら大変なので、arcuate artery以上の血管が標本に見えたら病理医は腎臓内科医にすぐさま報告する。