2012/05/23

rainbow-color renal pathology

 腎病理は、月1回、腎臓内科全体のbiopsy conferenceと、フェロー用の教育カンファレンスがあるが、不十分と感じていた。なんとかお手軽に基本的なことを系統的に学ぶ方法はないかなと思っていたら、開業医の先生方を招くイベントで"renal pathology"というセッションがあったので参考になった。

 そこでは、腎病理に特徴的な多種の染色について主に説明していた。

 まず基本のH&E染色。ヘマトキシリンは塩基性pHのため、酸をよく染める。DNAはリボ核酸なので、核がよく染まる。壊死組織ではヘマトキシリンが染まらず、標本が真ピンクになる。エオジンは酸性pHで、細胞質とかがよく染まる。染まり方で、chunkyならfibrin(つまり塞栓)とか、ある程度染まっている構造物を特定できる。

 Jone's methenamine silver染色(JMS)は、glycosaminoglycanを染め、糸球体の基底膜と尿細管の基底膜が黒くなる。膜性腎症でspikeが見られることや、糖尿病性腎症で糸球体にlaminarな縞が入った結節、Kimmelstiel-Wilsonが見られることは有名だ。

 同じように基底膜をよく染めるのがPAS(periodic acid-Schiff)だ。他にmesangiumも染まる。これはglycogen、glycoprotein、proteoglycaなど多糖類を染める。Periodic acidとはper-iodic acid、つまり過ヨウ素酸ということで、ヨウ素なだけあって濃紫色だ。この染色のほうが、移植腎でtubulitisの診断をする際に浸潤細胞が尿細管基底膜の内側かどうかが見やすいらしい。

 Tricrhrome染色では、collagenが青色に、fuschinophillicなfibrillinやmuscle fiberが赤色に染まる。すまわり青色の比率で線維化の程度が評価でき(25%以下がmild、50%以下がmoderate、50%以上がsevere)、赤色は血管を評価するのに役立つ。

 Congo-red染色はamyloidを染め、偏光顕微鏡でgreen-appleなbifringenceを示すことはよく知られている。染まり方によってある程度アミロイドの種類がわかるが、いまはMayo Clinicがmass spectroscopyで調べてくれる。ここまでで時間になったので、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡は、また今度ということになった。

 本当は、医局にAgnes Fogo先生の"Fundamentals of Renal Pathology"もあるし、自分で勉強すればいいわけだが・・。こうした数少ない機会に、学んだことを貯めていこう。卒業したら、腎臓内科の専門医試験でも頻出だし!