2012/05/20

ABO incompatibility

 あるliving donorがあるintended recipientに腎をあげたいと申し出たとする。でもその組み合わせではABO不適合だったら、どうするか。とくに、患者さんがO型の場合、その人は抗A、抗B抗体を両方持っているので、A型の腎臓は患者さんの抗A抗体、B型の腎臓は抗B抗体、AB型の腎臓は抗A、抗B抗体両方による拒絶反応(AMR、antibody-mediated rejection)の危険がある。

 ひとつの方法は、paired kidney donation(PKD)だ。同じように不適合なドナーとレシピエントのペアがたくさんいるので、そのなかでマッチする組み合わせを見つけてswapするということ。もっともシンプルなのは、A型の患者さんに腎臓をあげたいB型のドナーが、べつのB型の患者さんに腎臓をあげるかわりに、そのB型の患者さんに腎臓をあげたい(があげられない)A型のドナーが、A型の患者さんに腎臓をあげる、という交換だ。PKDは韓国で最初に報告された。

 しかし、O型の患者さんはO型からしか腎臓をもらえない一方で、O型のドナーは、腎臓にA抗原もB抗原もついてないので、A、B、AB、O、すべての血液型の患者さんにあげられる。だから、たとえPKDをしてもO型のレシピエントがどうしても長く待たなければならない。そこで、生まれ持った抗A抗体、抗B抗体をできるだけ除去して、なんとかA抗原、またはB抗原のある腎臓を生着させようというのがABO不適合移植だ。

 米国ではJohns Hopkins大学が最もABO不適合移植を先進的に行ってきた(Transplatation 2009 87 1246)。術前治療は血漿交換とIVIGで、抗Aあるいは抗B抗体の抗体価が1:16以下に下がるまでやる。手術前日にもやり、そのあと抗体価が下がっていることを確認する。日本では全例脾摘するところが多いらしい([2015年5月追加]昔の話で、いまはrituximabを中心とした免疫抑制剤があるのでやらない)が、こちらではroutineにはやらない。

 成績は術直後のgraft lossがどうしても一定の割合でおこるが、それを過ぎると、極めてvigilantなモニタリングが必要(protocol biopsyなど)だけれども、成績はABO適合の移植と変わらない(Transplantation 2012 93 603)。ただ少なくともこちらでは、抗体価が1:512以上、AB→Oの不適合、HLAのflow cytometry cross matchも陽性な場合、などはやらない。