2016/06/04

Na intake estimate

 1日塩分摂取量はどのように求めるか。栄養士さんがカロリーカウントのように調べるのがひとつ。24時間Na排泄量は摂取量と同じはずなので、それを蓄尿で求めるのが一つ。このふたつがgold standardとされる。でもそれらは簡便でないので、スポット尿を使うのがもう一つ。

 なかでももっとも有名なのはKawasaki式で、早朝尿の次の尿(second morning urine)を用いて計算する(Clin Exp Pharmacol Physiol 1993 20 7、1985年のから改良された)。すなわち:

Na (mEq/d) = 16.3 x ルート[(UNa (mEq/l) / (UCr (mg/l)) x predicted Cr excretion (mg/d)]
Predicted Cr excretion (mg/d) = (15.12 x weight + 7.39 x height (cm) x 12.63 x age) - 79.9 in men
Predicted Cr excretion (mg/d) = (8.58 x weight + 5.09 x height (cm) x 4.72 x age) - 74.95 in women

他にINTERSALTスタディに用いられた随時尿のTanaka式(J Hum Hypertens 2002 16 97)、高さ16cm x 幅1.5cmのデバイスで夜間にpipe-samplingした尿を用いた式(J Hypertension 2002 20 2191)などがある。抵抗伝導率法で尿量、導電率法で塩分濃度を測定し1日塩分摂取量を推計する器械(下図、J Hum Hypertens 2006 20 598)はさらに簡便で、商品化もされている(2-3万、医療機器ではない)が、日本高血圧学会はunreliableとしている(Hypertens Res 2007 30 887)。

 いずれも日本の研究だ。Urinary Na excretionを対象にした論文の多くは、Kawasaki式を用いている(海外でもvalidateされているのかはわからないが、不思議と海外の式はあまり見当たらない)。そのお膝元の日本だが、減塩ができているかを尿で確かめて診療するというのはあまり聞かない。また栄養士さんが塩分カウントしてフォローするなどというのも、よほど高血圧に特化した施設でないとされていないのではないかと思う。