心房細動の治療はNOAC(non-vitamin K antagonist oral anticoagulant)が広く用いられているが、次の治療として左心耳を機械的に閉じてしまう器具が開発されていたことを遅ればせながら知った。米国内科学会誌のACP Journal Clubで、この器具とワーファリンを比較したスタディを吟味していた(Ann Int Med 2015 162 JC4)からだ。スタディ(PROTECT AFスタディ、JAMA 2014 312 1988)では非弁膜症の心房細動をmeanで3.8年フォローしたら新しい治療が脳梗塞や心血管系死亡の予防においてワーファリンより優れ、出血や手技に伴う合併症もnon-inferiorだったという。NOACと比較したデータはまだないが、抗凝固ができない患者に有効かもしれない。心房細動を原因から絶つ治療として肺静脈出口周囲の焼灼、MAZEなどがあるが、LAA closureはTEEと透視を組み合わせて経静脈的に(心房中隔をこえて)左心耳をデバイスで塞ぐ。Boston Scientific社の商品名をWATCHMANと言う。リズムを絶つのではなく塞栓が生じる元を断つ治療だ。日本でもカテ病院ではすでに始められているのだろうか。