2015/04/15

埃を払う

 米国腎臓内科学会に入っていると週5日ニュースレターがemailで送られてくる。以前はKidney Dailyだったが、名前が変わっていまはASN in the Loopとちょっとお洒落だ。別立てのメールフォルダに入るようにしているのだが、休職して前の職場で復職していまの職場に来てもずっと読まずに(読めずに)いた。未読メールの数が220件だから、44週間うっちゃっていたことになる。
 総合診療科に在籍する腎臓内科医としてのアイデンティティを与えられた今、腎臓内科の生涯学習を模索している私は、昨日は長く難解な論文を一気に読んで一気に訳して疲弊したので、今日は論文を読むのはやめて、この軽めなニュースレターを読むことにした。これは腎臓に限らず面白ニュースがいろいろ入っているし、「ふーん」と読み流せばいいので楽だ。
 さて今日はどんなニュースが届いているかな?「透析患者のSES(socioeconomic state)と生命予後は相関する」、そりゃそうだろ。「インスリン患者は経口血糖降下薬患者に比して大気汚染に弱い」、へえ。「ヨーロッパで最もRRT(renal replacement therapy)患者の有病率と罹患率が高いのはポルトガル」、へえ。「Selenideが虚血後再潅流障害を予防する」、おお。
 Critical Care Medicineにでた動物実験(doi: 10.1097/CCM.0000000000000971)だ。いまの職場は図書館がないので(かわりに自分達で雑誌をつくって、オンライン上にマニュアルをつくって、ガイドライン本を医局に揃えているのだが)読めないが、セレンは酸素と同じ第16族元素なので活性酸素とかを除去してくれるのかなあ、知らないけど。これくらい軽く読む生涯学習があっても、いい。
 [2016年8月追加]セレン大量静注とプラセボを重症敗血症で比較したRCTがでて(doi: 10.1001/jamainternmed.2016.2514)、28日死亡率、90日死亡率に有意差がなった。またこの論文はプロカルシトニンガイドの抗菌薬治療を行って、プロカルシトニン群では抗生剤使用が少なかったものの死亡率には差がなかった。