SGLT2阻害剤が市場に出て久しい(腎臓内科的に面白い薬なので以前に触れた;リンクはこちらとこちら)。血圧も下がり体重も減って、副作用も性器感染症などマイナー(あと脱水に注意しなければならないが)で、インスリンが不要になったり患者満足感が高かったりというので各社がしのぎを削ってこのクラスの新薬を作った(一般名がgliflozinで終るのでgliflozinsとも呼ばれる)。しかし時間がたつといろんな事がわかってくるもので、SGLT2阻害剤を内服するとグルカゴン産生が促進される。膵島のα細胞にはSGLT2があって、SGLT2をブロックするとK(ATP)チャネルを介した機序でグルカゴン産生が亢進されるそうだ(doi:10.1038/nm.3828)。グルカゴン産生が亢進すると何か悪いことがあるだろうか。低血糖のときに打つことがあるくらいだから、交感神経系が亢進しそうで、高グルカゴン血症に常時さらされているのはあまり良いことには思えない。グルカゴンをブロックする薬をつくって一緒に内服するといいのかもしれないが。