2013/06/24

Embracing evolving technology 2/2

 TAHについて腎臓内科医が知っておくべきことは何か?まず、TAHは高率に腎不全をおこす。文献によれば透析を要する腎障害は20-30%(NEJM 2004 351 859)。個人的にはVADに多いpigment nephropathyより、ischemic ATNという印象だ。TAH自体のせいなのか、心不全が重症すぎるのかは分からない。
 腎不全予防に試されるのがnesiritide(BNP)だ。TAH患者さんは心室がないのでBNPを補充しようというわけだ。Virginia Commonwealth Universityのデータによれば術後GFRと尿量が有意に優れていた(J Heart Lung Transplant 2011 30 S96)が、このデータは患者数も少なく何ともいえない。現在phase 4 trialが進行中という。
 Volume評価には、通常のパラメターのほかに人工心室のfill volumeが重要だ。余りギリギリまで心室を血液で充たすと、人工心室は心臓のように伸びないのでひどいdiastolic heart failureになる恐れがある。通常、fill volumeは60ml以下に抑える。
 ちなみに、高K血症になっても、TAH患者さんには心室がないので理論上は致死性不整脈の心配がない。しかし、だからといってKを6、7、8mEq/lで許容することはないが(高K血症は全身の筋力低下もきたしうることは以前に紹介した)。