2013/06/06

Dysnatremia in the ICU

 ICUでNa+が基準値より低い、あるいは高い群はNa+が基準値の群に比べてmortalityが高いと聞いても驚かない。ICUでNa+が基準値内であっても、6mEq/l以上の変動がある群は変動がない群に比べてmortalityが高いと聞くと、「ほう」とは思うがそんなに驚かない。
 先日のjournal clubで議論に提示された、ドイツの外科系ICUが調べた論文(Crit Care Med 2013 41 133)の結論だ。驚かないのは、dysnatremiaとNa+ fluctuationは重症度のマーカーだと推察されるからだ。実際Na+異常群は正常群に比べてSOFAスコアが高く、ICU滞在日数も破格に長い。
 このスタディでは高Na血症のほうが低Na血症よりmortalityが高かった。高Na+血症で想像されるのは①脳外科手術で脳圧低下に3%食塩水を用いている、②肺水腫で利尿剤を用いている、③蠕動低下で経口が遅れfree water不足、などだが、論文にはこれらの情報が一切ない。
 腎臓内科コンサルタントとして、ICUのNa+異常をどう治療すべきか?この手のretrospective studyはこの問いへの答えを与えない。腎臓内科医がいかなる手段を使っても術後のNa+を140mEq/lぴったりに保ったらmortalityが下がった!という前向きスタディがでれば別だが。今は、高Na+血症はmortalityよりも喉が渇くので治療している。