2013/06/19

Urine microscopic exam

 米国腎臓内科は、ICUで診療チームがバタバタと治療しているときに「尿サンプルが必要です」と切り出し、サンプルを手にすると「では鏡検してきます」と去っていく。病棟の患者さんなら、挨拶するなり「ところであなたの腎臓で何が起こっているのか情報を得るために尿サンプルが必要です、少しでも良いのですが」という。
 まあこれはちょっと誇張で、尿サンプルを求める前に問診も診察もカルテレビューもすることが多いが、それくらい尿沈査が重要視されている。高K血症のAKIで緊急透析を求められたときに、bland(淡白)な尿沈査と病歴を盾に腎前性と信じて輸液だけで治したこともある。英国内科医Sir Robert Grieve Hutchison(1871-1960)のこんな引用句もある。

 The ghosts of dead patients that haunt us do not ask why we did not employ the latest fad of clinical investigation. They ask us, why did you not test my urine? 

 そんなわけで日々尿を鏡検しているが、こないだ経験あるスタッフからお洒落なテクニックを学んだ。検査室の器械は上皮細胞を白血球と誤認することがあり、白血球が10/lpfあるのにleukocyte esteraseが陰性ならその細胞は尿細管上皮細胞かもしれない。以来、鏡検でも有核で球形の細胞が白血球か上皮細胞か区別しにくいことはあり、意外と役立っている。