2013/06/03

LCMV

 輸血でも臓器移植でも、donorからrecipientに感染症が伝播する可能性は常につきまとう。臓器移植はrecipientが免疫抑制されているので尚のことだ。その一つに、稀だが報告されているのがLCMV(lymphocytic choriomeningitis virus)だ。
 LCMVはげっ歯類を宿主にもつArenaウイルスの一種で、ヒト→ヒトでは垂直感染が知られている。しかし、同一のdonorから臓器移植された複数recipientsが感染したclusterも何件か報告されている(NEJM 2006 354 2235、Emerg Infect Dis 2012 18 1256)。いずれも移植直後で免疫抑制がピークの時期に起こり、致死率が高い。
 いまだ確立された治療法はないが、MMFを早期に減量した例とrivavirinを受けた例が生存した。Donorのほうは症状もなく潜伏感染で、RT-PCRやserologyも必ずしも陽性にならない。CDCがスクリーニング方法を検討しているらしい。