PICCラインが深部静脈の狭窄をきたし、腎不全の人に透析カテーテルを入れられなくなるという心配がある。この心配は鎖骨下静脈カテーテルについて特に知られていて、今では慢性腎不全患者さんには鎖骨下静脈カテーテルを避ける。
しかしPICCラインについてはきちんとしたデータがない。どうやら起こるらしいが、どれくらいの頻度で起こるのか、誰がなるのか、留置期間は関係あるのか、どれも分からない。紹介された論文(JVIR 2000 11 1309)で示された頻度は明らかにoverestimateだし、thrombosisの頻度とstenosisの頻度はべつだ。
しかし、最近になって米国内科学会(ABIM)と米国腎臓内科学会(ASN)がジョイントで「CKD stage 3-5の患者にPICCラインを挿入する際には腎臓内科に相談しなければならない」という声明を発表した。現時点では①本当に必要なのか見直す、②本当に必要なら最短の期間にする、としか言えない。
というのもalternativeがないからだ。内頚静脈にsmall-bore (4Fr) tunneled catheterを入れるのを推奨する人もいる。少量ワーファリンがいいという人もいる(中心静脈ラインについてのデータはAnn J Med 1990 112 423)。いずれもデータには乏しい。