2011/08/07

sleepy kidney

 術後すぐの移植腎について話そう。移植腎の機能は、移植腎の年齢が若いことが最も効いてくる。若い腎臓は、cold ischemia timeが長くても、DCD(donation after cardiac death, rather than donation after brain death)であっても、摘出前のドナーの腎機能が悪くてpumpingをされていても、老いた腎臓に勝る。living donorもとても予後がよく、多少の組織不適合があっても免疫抑制でなんとかなる。
 移植後、大抵の場合は一日に5L以上の尿が出る。移植前に無尿だった患者さんにとっては驚きである。腎臓は乾燥した環境を嫌うので、十分に輔液してあげる(維持輔液に、尿量と1:1にマッチしたreplacement fluidを加える)。新しい腎臓は尿がでるだけでなく老廃物排泄、カルシウムやリンの調節もしてくれる。クレアチニンが毎日1mg/dl以上減っていくのも、患者さんには嬉しい驚きだ。
 残念ながらそこまで回復が早くない人もいる。術後一週間以内に透析を必要とする場合をlate graft functionと呼び、そこまでではないが回復が遅い場合をslow graft functionという。これらは最終的な移植腎の予後にあまり影響しないので、患者さんに"kidney is sleepy"とか説明しても問題はない。周術期の血行動態、血管吻合部の狭窄などが考えられる。Hyperacute rejectionというのもあるが、手術中にみるみる移植腎がfailするほど超急性なので術後に病棟でみることはない。